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読書、あるいは読書の欠如は社会全体だけでなく人々の生活にも大きな影響を及ぼす可能性がある。
例えば、高齢者を対象にしたある研究によると、より多くの読書習慣がある人(過去3カ月間に1~5冊読んでいるなど)はメディケア(高齢者医療保険制度)についての知識も豊富で、賢く利用できる傾向がある。
他の研究では、読書は加齢に伴う認知機能の低下を防ぎ、高齢者の記憶力強化に役立つことが明らかになった。幼少時の読書は、10代になってからの認知能力向上とメンタルヘルスの安定と関わっている。
本を読む人は読まない人に比べて死亡率が20%低下するとした研究もある。この「生存優位性」は雑誌や新聞よりも本を読むほうが高かった。
脳の集中力を強化する
読書を単なる娯楽ではなく、頭の体操と考えてもいいかもしれない。筋肉を鍛えるように、脳にも定期的に刺激を与え集中力を強化する必要がある。短時間の運動でも、定期的に行えば効果があることは周知の事実だ。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の神経科学者メアリアン・ウルフは、ゆっくりと時間をかける人間の処理能力にテクノロジーが影響を及ぼしていると主張する。彼女によれば、ネット上で文章を読むのは読書というより斜め読みにすぎない。その結果、読書に集中し関心を向ける「認知的忍耐力」が低下するという。
これから私たちはより多くのニュースや刺激を浴びるだろうし、集中力や情報処理能力を維持することはより重要になるだろう。毎日の決まった読書は、脳の鋭敏さを保つ最善の策だ。